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【JANPU災害支援対策委員会】2019年3月23日(土)開催『災害フォーラム』の資料をUPいたしました

JANPU災害支援対策委員会は、被災後の大学の教育継続の備えについて、被災校の体験から学ぶこと、看護系大学のネットワークについて被災校の体験から学ぶことを目的として、『災害フォーラム-被災後の大学の教育継続の備えはできていますか?被災校の体験から看護系大学のネットワークを考える-』を開催しました(3月23日、一橋大学一橋講堂)。
災害フォーラムの概要をご紹介します。

■資料1:「災害に備えたネットワーク作りの現状に関する調査」結果報告
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■資料2:東日本大震災での被災校経験から
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■資料3:熊本地震での被災校体験から
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1.委員会報告 森下安子委員(高知県立大学教授) 資料1参照
「災害に備えたネットワーク作りの現状に関する調査」を実施しました(調査期間2月1日~2月25日、回収数124校 回収率44.8%)。会員校の皆様、調査にご協力いただきありがとうございました。調査ではQ「災害に備えて同ブロック内外の大学や関連機関とのネットワークをお持ちですか?」について、ネットワークあり65大学、なし59大学、ネットワーク活用経験あり15大学でした。Q「今後の災害に備えて、日本看護系大学協議会の地域ブロック間(ブロック内外問わず)のネットワークを持ちたいと思いますか?」について、持ちたいと思う102大学、持ちたいとは思わない16大学、ネットワーク活用経験あり15大学でした。今後持ちたいネットワークに関しては、①平時からのネットワーク、②相互に協力できる体制作りの検討、③被災時のネットワーク、④災害発生時の地域に対する物的人的支援の体制、⑤災害時、大学間で情報共有ができるしくみなどの意見がありました。一方、ネットワークを持ちたくない理由としては、①地域ブロックがやはり広範囲である、②実効性についての疑問、③既にネットワークがあるなどの意見がありました。

その他、広範囲の災害の場合は、地域ブロックを超えた協力体制やブロック間のネットワークが必要、既存のネットワークとの違いや目的を明確にすることが大事、平時にブロックあるいは都道府県看護系協議会において、定期的に情報交換や検討をする仕組みが大事など、様々なご意見をいただきました。調査結果を今後の委員会活動に活かしていきたいと考えています。ご協力、ありがとうございました。

2.東日本大震災での被災校体験から 吉田俊子氏(宮城大学看護学群教授、 被災時学部長) 資料2参照
吉田氏は、3月発災時副学部長、4月から学部長として職責を果たされた当事を振り返り、災害を通しての宮城大学看護学部の体験を、被災体験のない会員校にもわかるように日を追って具体的にお話しされた後、体験を通して考えた課題について述べてくださいました。宮城県の被災状況は、3月14日の時点で、県全体の人口の1割以上の人々が避難をし、7月の避難所の数は283カ所、平成31年3月死者行方不明者は1万1,786名、震災関連死928名と大変甚大な被害であり、食料やガソリンなど購入することが困難な状況でした。震災当日の看護学部の様子、15時に危機対策本部が設置されて検討した事項について、安否確認の確認経過、入学試験の対応、死亡学生への対応など困難な課題にどのように対応をしたのか、学務状況や学生支援、電話聞き取り調査、大学全体での調査及び調査結果について、具体的にお話しくださいました。
教育の継続については、しっかりと看護学を教育していくということを大学で話し合い、教員一同で講義を行っていくという形で行い、実習病院も被災した中でも地域がしっかりと学生を育てていくという思いで受け入れてくださり、総合実習は無事に行うことができています。
死亡学生に関しては、4月11日に弔問を行っています。その際、基礎実習のノート、レポート、また、学生証や来学風景やとにかく教員が持っていたものを全部集めて、きれいにアルバムを作り、ご家族にお届けしています。そして、除籍手続きがありましたが、一緒に卒業したいという希望があり、特別卒業証書を贈呈して、学生の主催で卒業式当日にメモリアルの会も行っています。
学生支援としては、調査にて健康リスクを早期に把握しフォローするとともに、気持ちを話す話し合いをするといった話す場を持つことが非常に重要で、声をかけていくということや、経済面においても授業料免除、教科書や実習服の喪失にも対応しています。また、学生はボランティアにも多く参加していましたが、ボランティアをしていなかったり、できないことへの罪悪感を学生が持つ場合もあり、学業や本業に専念できる上でのボランティアであることを認識し、大学は、この学業、本業に専念できる環境をしっかりと提供していくということが重要とのことでした。
被災後は、災害看護プログラム、慢性期のケアに力を入れたプログラムに再構、地域の中での防災の内容も増やしております。そして、被災時に日本看護系大学協議会がマッチングし被災の経験のある兵庫県立大学からご支援があり、これを踏まえ協定を結び実際に文科省の大学間連携教育共同の推進事業で、コミュニティープランナーという新しいカリキュラムも構築しています。
また、安否は早急に確認することが必要であり、これを踏まえて、外部のサーバーを活用した安否システムの導入や緊急連絡網の見直しをしています。また、学生や教職員の個性や大学組織の事務等の状況をわかるには、日ごろのコミュニケーションが大事で、災害になったからコミュニケーションをとろうというのではなくて、日ごろから、コミュニケーションをとっていることの大切さについてお話しくださいました。

3.熊本地震での被災校体験から 竹熊千晶氏(熊本保健科学大学地域包括連携医療教育研究センター/保健科学部 看護学科教授、被災時学科長) 資料3参照
竹熊氏は、発災時学科長職責を果たされた当事を振り返り、災害を通しての熊本保健科学大学保健科学部看護学科の体験を、発災後から時間経過を追って教育の再開、実習の調整、講義演習の調整等について詳細に述べてくださいました。熊本地震は4月14日に震度7M6.5前震があり、2日後の16日に震度7M7.3という前震の約16倍のエネルギーの本震が発生し、建物全体、研究室、演習室、学生、教職員、その家族、そして実習施設とすべて被災し、サーバーもダウンする中、安否確認、大学としての基本方針の決定、休学期間の決定や、大学再開に向けた被害状況調査を行い、その結果に対しどのように対応をし、教育を再開していったのか、具体的にお話しくださいました。

大学は会議にて基本方針を「学生、教職員の安全を図って、教育内容の質をできるだけ落とさずに、学生を就業年限で卒業させる」とし、休校期間を4/28まで(その後5/6まで延長)とし、学生、教職員の安否や被災状況の確認、出勤可能な人数の把握、大学内の被災状況について現状調査を行っています。大学内は、教員個人の研究室は書棚等いろいろなものが倒れ足の踏み場のない状況で、学内実習室も漏水が生じ水浸し状況でした。実習室と教員研究室の復旧をしないと、本来の教育活動に戻れないので、余震が続く中、出勤できる教員に限られ人手不足もありましたが学生ボランティアにも協力してもらい片付けを急いでいます。

講義、演習関係では、学外の非常勤講師も非常に多いため、その時間割の再調整、時間数を確保し、シラバス内容の変更や建物の機器破損に伴う学内実習、演習の変更をしています。

実習においては、4月から3年生100名単位の実習が予定されていましたが、実習施設が被災し受け入れ中止が発生する中、実習地と実習期間の再調整が必要になっていました。同時に実習施設から実習に伴う保険内容・安全確保の方針について大学側に問い合せが相次いでいます。附属病院を持たない大学であり、新たに受け入れ可能な施設と病院確保は困難であり、その中で学生の負担も考慮し、学科長、領域責任者が連携して最初のクールを夏休みに移動し本来実習施設でないところも含めて検討・調整をしています。公衆衛生実習も6月に予定されていましたが、市役所の建物が崩壊するなど、2市町村2保健所の受け入れが困難となり、最終実習時期と場所をずらして調整していました。
大学は5月9日から再開しましたが、通学困難な相談は1件のみで個別に配慮を行っていました。熊本地震の体験を通して、マニュアルは通用しないこと、サーバーダウンへの2重3重の手段の構築、ライフラインの確保に向けた事前の対応の必要性について学び、全学生同時の避難誘導訓練、災害マニュアルの整備、学生の任意加入による災害特約保険の整備、食料等の備蓄を進めています。また、熊本大学、熊本県立大学と連携した災害時に地域で活躍できる減災型リーダーの育成プログラム「減災リテラシー入門」の科目の内容を改めるなど、教育の充実に取り組んでいます。
最後にどこで災害が起こっても、教育を早期に再開するためには平時からの備えが重要で、組織全体を見直して、災害時の情報収集の流れなどを確認しておくことも非常に大切であるとお話しくださいました。

4.質疑応答
会場から、安否確認の方法、内容について、カリキュラム変更やあらたな実習施設等の計画について文部科学省とのやりとりをどうしたのか、通学できない学生への学習の保証について質問がありました。文部科学省とのやりとりについては、お二人とも逐一連絡確認しながら実習施設、カリキュラム、時期の変更等について確認しながら行っており、吉田氏は無理なことも伝え交渉したとのお答えがありました。通学のできない学生への対応については、竹熊氏から車中から来る学生、それから、避難所から来る学生は結構たくさんおり、その状況を把握しながら、できる限りの配慮を行い、遅刻の場合、疲労時の負担であるなどいうことを配慮しながら、個別に対応していったとのお答えがありました。
災害フォーラムのアンケート結果では、95%以上の参加者から「大学の教育継続に際し、どのような備えが必要か理解するうえで役に立った」との回答がありました。また、災害時の教育継続に関する課題の有無についても、80%以上の方が「課題がある」と回答され、看護系大学の間のネットワークについても60%以上から希望がありました。定期的な学習会や話し合える場、情報交換に関する意見が多く、今後も今回のフォーラムのような情報提供する場を持ち、話しあうことを企画したり、看護系大学間での効果的なネットワーク構築に向け検討していきたいと考えています。

アンケートへのご協力、ありがとうございました。

一般社団法人 日本看護系大学協議会 
災害支援対策委員会 委員長 中野綾美

 

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