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試行事業

事業の概要

本委員会では、日本看護系大学協議会として、平成19年度文部科学省大学評価研究委託事業に採択され、「看護学専門領域の評価基準・評価体制の開発研究事業―看護系大学・大学院の質向上システムの構築を目指して―」をテーマに研究事業を行いました。

本事業は、看護系大学・大学院において、専門領域としての看護学の教育・研究に特化した、(1)評価項目・基準の開発、(2)評価の試行、(3)その結果の普及を通して、評価の必要性についての認識を高めること、同時に、(4)米国における第三者機関による看護系大学・大学院の評価システムを学び、比較することによって、わが国における効果的・効率的な看護学専門領域の評価体制を構築すること、これらを通して、看護学の教育・研究の質向上システムの構築を目指すものです。

事業の必要性と背景

■ 急増する看護系大学・大学院

わが国では、少子高齢化の進展が著しく、医療技術の進歩、患者の高齢化・重症化、医療費の高騰に伴う在院日数短縮など、保健医療福祉を取り巻く環境は一層厳しくなっています。その中にあって、患者の視点に立った効果的な医療を提供するためには、質の高い看護職員を確保することが重要です。

看護系大学・大学院は、近年急激に増加しています。

看護系大学数は、平成元年(1989年)にはわずか11校でしたが、年々増加し、平成12年(2000年)には84校、平成18年(2006年)には157校へと増加しました。これに伴い、大学で教育される看護師の人数(1学年定員)は、平成元年(1989年)には539人でしたが、平成19年(2007年)には12,223人に達しています。看護師の全教育課程を併せた1学年の定員数は、約5万人です。即ち、かつては、看護職の中で1%だった大学卒業生が、現在は2割以上を占めています。

そして、看護系大学の増加に伴い、この割合は益々大きくなると予測されています。このため、看護系大学における看護学教育の質を確保することは、焦眉の課題といえます。

また、近年の複雑化した社会の中で、実践の課題を解決する科学の比重が増しています。看護学は実践の科学であり、その研究水準が、実践の質や今後の科学のあり方に及ぼす影響も大きいと考えられます。

■ 看護学の専門領域に特化した評価の必要性

このように、わが国では看護学の大学・大学院教育が重要になっているものの、教育・研究を開始して日が浅い大学・大学院も多く、その質を評価する基準や体制は未だ確立されてはいません。

しかし、患者の視点に立った質の高い看護を提供できる看護専門職と共に、実践のエビデンスを提供できる研究者を育成するためには、看護学の専門領域の教育・研究等を評価する明確かつ統一的な基準および評価体制を構築する必要があります。また、その際には、看護関係者のみならず、患者等の利用者ならびに他分野の理解を得られるよう、評価結果の透明性を担保できる確実な方法を提示することが重要です。

現在、各大学・大学院には認証評価が義務付けられ、定期的に実施されています。しかし、認証評価は機関別評価であり、個々の専門分野に焦点を当てた評価は望み難いと考えられます。特に、総合大学では、看護学部・看護学科等のように看護学領域として独立した学部や学科となっていない大学も多く、機関評価としての認証評価のみでは、看護学領域の教育・研究の実態が反映されにくい現状があります。

このため、看護学の専門領域に特化した評価体系を構築することが必要です。


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