201903

熊本大学大学院生命科学研究部
小濱 京子

鹿児島育ち、東京医科歯科大学保健学科看護学専攻卒。看護師として勤務後、大学院へ。現職は熊本大学大学院生命科学研究部・助教。臨床での経験から、若い女性がん患者さんへの看護について活動・研究しています。

多領域、多職種、地域社会と協働しながら大学生がすすめる子宮頸がん啓発活動

私は教員として看護学生によるサークル活動をサポートしています。今回は、学生たちと一緒に活動している子宮頸がん啓発活動についてご紹介したいと思います。

熊本大学の看護学生たちは、FromK(フロムケイ)というサークルを立ち上げ、大学生や、同じ世代の若い女性を対象とした子宮頸がんの予防・検診啓発を目的とした活動を行っています。

子宮頸がんとは、子宮の入口(子宮頸部)にできるがんで、特徴として20代から40代の女性がかかりやすいことが挙げられます。子宮頸がんの5年生存率は比較的高く、子宮頸部にとどまる大きさで治療を行った人では95%以上、周辺組織にとどまるがんでは85%とされています(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2016)。

しかし、初期のがんは無症状であることがほとんどで、がんの発見が遅れると、大きな手術や化学療法が必要となり、治療による身体への負担や日常生活への影響は大きくなります。
そのため、20歳から受けられる子宮頸がん検診によって、初期のがんを早く見つけ、治療を始めることがとても大切です。ただ、日本では子宮頸がん検診の受診率は20%台ととても低く、目標の50%にも満たないのが現状です。

がん検診は、健康増進法に基づく国のがん対策として5種類のがんで実施されています。なかでも子宮頸がん検診の対象年齢は20歳以上であり、若い世代を含みますが、そういった若い世代では大きな病気にかかることも少なく、婦人科受診の経験がない場合が多く、啓発活動による受診推奨が最も効果的な世代と考えられます。この世代では特に受診率の向上によりがんの早期発見や早期治療による効果が期待されます。

サークル活動は、熊本大学の医学部や薬学部の医療専門職の先生方をはじめ、熊本県内の大学生を中心とし、熊本県保健センター、熊本県健康づくり推進課、熊本市総合政策部、県内企業など他にも様々な機関からの支援を得ながら協働して活動しています。

熊本大学の大学祭では昨年まで5年間にわたり、県保健センターとの共催による子宮頸がん検診を行いました。大学構内まで検診用の大きなバスに来てもらい、検診を実施したところ、検診後のアンケートでは、大学祭で初めて検診を受けたという20~30歳代の女性から反響も多くありました。

最後に、サークル活動の一環としてFromKが中心となって作成した子宮頸がん啓発動画を紹介します。
(約6分:音が出ます)

上記動画では、大学生が初めて子宮頸がん検診を受ける様子を通じて、子宮頸がん検診の方法、検診の感想、検診結果の受取り方法について紹介しています。

back

掲載の先生の
所属大学に関する情報はこちら

TOPへ戻る