202105

卒業生と精神看護関連の学会で再会

兵庫県立大学 看護学部
西池 絵衣子

兵庫県立看護大学(現:兵庫県立大学看護学部)を卒業後、東京の精神科病院で働く。その後、専門看護師を目指し大学院に進学し、修了後は教育に携わる一方で専門看護師の活動も行いながら現在に至る。2019年から現職。専門看護師や認定看護師の教育にも携わりながら、精神科訪問看護やダイアローグを用いた支援などの研究に取り組んでいる。

精神科看護の魅力 ―「はなす」ことと「きく」こと―

 私は本学卒業後、精神科病院に就職し、クリニックやデイケア、訪問看護などさまざまな場で多職種チームによる支援を行い、人とのかかわりや生きにくさ、その人らしい看護について探求してきました。最初に精神科看護に魅力を感じたのは大学の実習のときです。精神症状がある患者さんにどのようにセルフケアを支援していくのか、患者さんの自己決定やその人らしさを取り入れた看護について考えさせられる実習でした。
 就職し配置されたのは、急性期治療病棟でした。患者さんの入院までの経過を知るたびに自分に何ができるのだろうと、なかなか正解がないといわれる精神科看護の実践の場で、悩む毎日でした。とにかく毎日毎日スタッフでケアについて話し合っていましたがその時に声をかけてもらったのが事例検討会です。母校でも勤務先の病院でも事例検討会を定期的に開催しており、参加しました。自分の体験を「話し」たり、「聴いてもらう」ことで、参加後には自分の病棟以外での実践を体験できるような新たな発見もあり、なんだかすーっと気持ちが楽になった感覚がもてたことを今でもよく覚えています。学生時代には将来こんなに精神科看護にどっぷりはまるとは予想もしていませんでしたが・・・。
 今は大学教員として学生に精神看護学を教えていますが、昨年度からはcovid-19の影響で遠隔授業や遠隔実習も行い、日々試行錯誤の連続です。精神症状があるがゆえのコミュニケーションの難しい場面では、患者さんはもちろんのことスタッフ間も含めた人とのかかわりの中で「話す」「聴く」というコミュニケーションの意味や技術の見直しをしながらのケアを展開していく姿勢が求められます。ここ数年精神科医療では、フィンランドのケロプダス病院で実践されている「オープンダイアローグ」が注目され、リフレクティング(「話す」ことを他者との対話、「聴く」ことを自分との対話と考え、「話す」ことと「聴く」ことを丁寧に「行きつ戻りつ」行う)の有用性が報告されています。私自身も研究と研修の目的で現地に行く機会が得られ、スタッフとの交流やインタビューも行いました。改めて「話す」ことや「聴く」ことを通して自身の思いに向き合うといった実践がケアに携わる専門職に必要だと感じました。この経験を通して、本学でも、学生が人とのかかわりの中で生じた自分の感情にも目を向けてもらい、異和感に気づき行為との不一致から自己一致を得られるような学習も進めています。その学習の効果を高めるために実習場面での感情交流を明示できるオリジナル動画を臨床スタッフや上級生の協力も得ながら作成し、ロールプレイなどを通して学生とディスカッションを行っています。
 一人でも多くの学生が精神科看護の魅力に触れ、将来仲間として一緒に成長していけることを楽しみにしながらたくさんの刺激を得られる毎日を過ごしています。

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