自主投稿をしてくださいました!
オープンキャンパスの模擬講義を任せていただいたときの写真です。
名古屋大学医学部保健学科看護学専攻を卒業後、附属病院にて看護師として勤務。名古屋大学大学院医学系研究科博士後期課程卒業(博士:看護学)、2020年より現職。
大学生の授業における居眠り頻度は非常に高いそうです。大学生を対象にした調査によると、授業中に居眠りを1週間に2回以上習慣的にしている学生は全体の86.4%にのぼるとのことです1)。かく言う私自身も学生時代は授業中によく眠っていました。現代の学生が居眠りをする要因は様々です。睡眠習慣はもちろん、食事、運動習慣なども含めた生活習慣、その授業への興味、関心など様々な要因があります。教員は学生の生活習慣をどうにかすることはできません。学生に対して興味関心を抱かせることも非常にむずかしいです。では、授業中に学生が起きていられるようにするにはどうすればよいか?授業の準備をしながらいつも考えています。授業に対するモチベーションは学生ひとりひとり違います。そして、「この授業に関心を持ってください」「授業中に眠ってはいけません」などと学生に伝えても伝わりません。「この授業の内容は必ずあなたにとって将来は必要となる。」それを伝えても『今』を生きることでいっぱいいっぱいの学生には全然伝わらないのです。
ではどうすればよいか?私がたどり着いた答えは授業をおもしろくすることです。『今』目の前の授業がおもしろければ眠くはならない。個人的にですが、授業のおもしろさを生み出す要因は3つあると思っています。1つめは、話の技術。2つめに、わかりやすさ。3つめは学生の参加です。
まず、話の技術。これを身につけることはとてもむずかしいです。専門的なセミナーに通って特訓をしてフィードバックを受けてまた特訓をして、そう考えるとお金も時間もすごくかかります。もちろんそれだけの価値があることです。ですが、大学教員もけっこう忙しいですよね。そこで私が参考にしているのはYouTubeです。特に漫才を参考にしています。テンポ、間の取り方、言葉選び、漫才には話の技術がすごく詰まっているんです。それにおもしろい。だから、苦にならないです。自分の勉強にもなり、おもしろい。そう考えるとある意味、授業の目指すべき所です。
次にわかりやすさ。これをどこで得るか。他の先生方です。キャリアを積んでいる先生方や国家試験対策講座で来てくださる予備校の先生方。学生に分かりやすく伝えようと経験を積んできた先生方の説明はやっぱりわかりやすいんです。キャリアを積んでいる先生方は、自分の授業を見に来る教員を疎ましく思うことはありません。先生って言うくらいですから、勉強しに来る人間は基本的にウエルカムです。予備校の先生はそもそも見られることになれていますので邪険にされることもありません。お金をかけずにわかりやすさを学び放題です。
最後に学生の参加です。私がよく使うのはじゃんけんとGoogleFormです。「近くの席の人とペアになってくださいね」よりも「近くの席の人とじゃんけんしてくださいね」の方が進めやすいです。まず手を動かすから多少の眠気なら覚めます。そして勝ち負けが必ずつくので役割決めがスムーズに行きます。ただ近い席に座っていただけの相手と役割決めをするときは遠慮しがちになって時間の無駄ですし、気も使って疲れてしまうので、じゃんけんしてもらいます。そして全員への問いかけはGoogleForm。「手を挙げてください」では手を挙げない学生が必ずいます。しかも人数が多いと数え切れない。GoogleFormならその点、集計も一発です。しかもログが残るからみんな参加します。さらに、スマートフォンが発するブルーライトは眠気を阻害します。スマートフォンを使うことになるので、学生がよそ事してしまわないかと心配になるかもしれませんが、ご安心ください。GoogleFormを使用しなくてもよそ事します。そうであるならスマートフォンも学習に使えるデバイスなんだって学生に意識付けした方が良いと思うんです。
学生にとっておもしろい授業とはなにか、眠たくならない授業はなにか、まだまだ探求中です。高杉晋作さんが詠んだ辞世の句『おもしろきこともなき世をおもしろく』。私が教員として追記するのであれば『すみなすものは教師の腕なりけり』。これからも、学生がひとりも眠らない授業を目指して精進していきたいと思います。