202509

山梨大学大学院総合研究部 医学域看護学系 公衆衛生看護学領域
武井 勇介

山梨大学医学部看護学科卒業後、一般財団法人精神医学研究所附属東京武蔵野病院にて看護師として勤務。その後、山梨大学大学院医学工学総合研究部助手、北杜市役所にて保健師として勤務。山梨大学大学院修士課程および博士課程を修了し、2018年より現職。

教えることで気づいた学びの本質 教育現場の奥深さ

 大学生だった頃の私は、自分が大学院に進学したり、大学で教える立場になるとは想像もしていませんでした。正直なところ、当時は学ぶことのおもしろさもよくわかっていませんでした。しかし、そんな私が今、「学ぶっておもしろい!」と感じながら大学で教えています。それは、これまで出会ってきた、先生方、現場や地域の方々など、たくさんの人から教わるなかで、「学ぶっておもしろい!」と思える瞬間が増えていったからです。
 そして、教える立場になったことで、新たに気づいたことがあります。それは、「教わること」と「教えること」はまったく別のものであり、これまで「教わること」はしてきたけれど、「教えること」については深く学んでこなかったということです。そして、教えるということは、単に知識や経験を伝えるだけではなく、学生達が自ら考え、「なるほど!」と納得し、さらに学びたくなるような環境を作ることが重要ということが、教育に携わるなかで強く実感するようになりました。
 特に、大学の授業や実習の場では、同じ内容を伝えても、教え方によって学生の反応は大きく変わります。教員が工夫を凝らさなければ、伝えたいことや、学生の学びが十分に深まらず、学生の関心も薄れてしまいます。しかし、伝え方にひと工夫を加えるだけで、学生が目を輝かせる瞬間が生まれます。そのような瞬間があるからこそ、私自身も「もっと良い教え方があるのでは?」と考え、学び続けることができます。
 教育の現場は本当に奥深く、難しさもありますが、それ以上に面白く、やりがいのあるものだと感じています。何よりも、学生達が大学生活を通じて学び、自らの成長を実感する姿を見ることや、自分の人生について考え、選択し、前へ進んでいく過程に関われることは、私にとって大きな喜びと同時に、その責任の大きさも感じています。また、教育はすぐに結果が見えるものではなく、時間をかけて成果が表れることも多いため、長期的な視点を持つことも大事だと考えています。
 そして、大学教育においては研究も重要です。現在、私は産後の母親のメンタルヘルスについて研究を行っています。この研究成果を現場の方々にどのように伝え、実践に活かせるものにするかを探求しています。また、研究活動を通じて私自身が新しい知識を得ることで、学生達に最新の情報を提供し、より実践的な学びの場を作ることができると考えています。つまり、学びは一方通行ではなく、教える側も学ぶ側も共に成長していくものです。だからこそ学生と一緒に学び、成長できる教育現場に携われていることに大きな魅力を感じています。
 特に、看護職のような専門職では、最新の知識を身につけ、学び続けることが欠かせません。それは決して楽なことではありませんが、苦しいものでもなく、むしろワクワクするものだと思います。「学ぶことって意外とおもしろいかも?」と感じる瞬間を、私自身が経験したように、多くの人に伝えていけるように、これからも学生達と共に学びながら、学ぶことのおもしろさを追求していきたいと思います。

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