2014年3月 京都大学医学部人間健康科学科看護学専攻を卒業後、京都大学医学部附属病院にて看護師として勤務。その後、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 修士課程 看護科学コース 高度実践研究者養成プログラム専門看護師課程 修了。2024年4月より、京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 助教 ダブルアポイントメント教員(京都大学医学部附属病院 中病棟7階(循環器内科病棟)看護師として週3勤務) 現在に至る。
■「大学」と「病院」の二刀流
私は現在、大学院の教員と大学病院の看護師という、2つの顔を持つ「ダブルアポイントメント教員」として働いています。普段は週3回、病院で看護師として患者さんのケアにあたり、週2回大学院で主に専門看護師課程の院生さんの授業や実習のサポートと研究活動をしています。このような働き方は、日本ではあまり多くはありませんが、私にとっては理想的なスタイルでした。なぜなら、現場で患者さんと接して生まれた「疑問」を大学で「研究」したり、院生さんと一緒にディスカッションしたり、大学で得た最新の知識をまた現場に還元できるからです。こうした働き方を目指したきっかけは、看護学生だった時の恩師が「海外では、教員をしながら実践もして、研究をしている人がいる」ということを教えてくださったことにあります。「現場(実践)」と「学問(研究)」をつなぐことで、看護はもっと面白くなるし、患者さんのためになる。そう信じて、周りの方の力を借りながら、充実した毎日を送っています。
■ 挫折から見つけた「看護学」の奥深さ
実は、私はもともと医師志望でした。しかし受験に失敗し、悩んだ末に「医療に携わりたい」という想いで進路変更し、看護の世界に飛び込みました。
最初は迷いもありましたが、学び始めて驚いたことを覚えています。看護学は、医学だけでなく文学や心理学、社会学など、あらゆる分野の知識を使って「人間そのもの」を理解しようとする、とても奥深く、まだ発展途上の新しい学問だったのです。「看護師、面白いかもしれない」。そう思った私は、5年間の臨床経験を経て、看護をさらに学問として学びたいという思いで大学院へ進学しました。医師にはなれなかったけれど、今は看護師という仕事に誇りを持ち、この分野の発展に貢献したいと心から思っています。
■ 「なんとなく」を「言葉」にする研究
看護の現場ではよく「患者さんに寄り添う」という言葉が使われます。美しい言葉ですが、具体的に何をしているのか曖昧だと思いませんか?優れた看護師は、無意識のうちに患者さんの表情や声、さらには患者さんの家族背景や今の治療状況など膨大な情報を踏まえて、最適なケアを行っています。これが無意識のうちに行われている場合、「暗黙知(あんもくち)」と言います。私は、この「優れた看護師たちが無意識にやっていること」を言葉にし、誰もが実践できる知見にしていきたいと考えています。実際に現在、病院のスタッフの皆さんと事例研究を行おうと進めている所です。こうした事例研究を重ねることにより、優れた看護実践を言葉にして伝え、多くの患者さんへより良いケアを届けることにつながります。また、看護師自身の自信にもつながると考えています。
■ 未来の仲間へ
まだまだ発展途上の看護学は、若い皆さんの力を必要としています。皆さんが将来、看護の仲間になってくれる時、もっと自由に、もっと楽しく働ける環境を作っておけるよう、私も「現場」と「研究」をつなぐ架け橋として走り続けます。ぜひ一緒に、看護の未来を創っていきましょう。