202604

山形大学大学院医学系研究科看護学専攻
宇野 智咲

山形大学医学部看護学科卒業後、看護師として勤務。同大学大学院医学系研究科看護学専攻博士前期課程修了。2020年より現職。同研究科看護学専攻博士後期課程修了。

学びを続ける

 私が教員としての一歩を踏み出したのは、新型コロナウイルス感染症が拡大していた頃でした。通常の教育活動がどのようなものかを十分に理解しきれないまま、オンライン授業への移行や実習形態の変更など、イレギュラーな対応からのスタートとなりました。目の前の対応に追われる日々の中で、学生ときちんと関われていたのだろうか、学びを支える存在として十分だったのだろうかと、思い悩むことも少なくありませんでした。先の見えない状況の中で、不安や戸惑いを抱えながら手探りで日々を過ごしていたように思います。

 そんな中、ふと自分の学生時代のことが思い出されました。東日本大震災が起きた頃のことです。幸いにも身近で大きな被害はありませんでしたが、連日報道される被災地の映像を前に、看護を学ぶ立場でありながら何もできない自分に、無力さやもどかしさを感じていました。新年度の開始が1か月遅れたものの、学びを継続することができたのは、当時の先生方が環境を整え、学びを止めないよう配慮してくださったからでした。学生だった当時は、先生方の配慮や支えの大きさに十分気づけていなかったように思います。教員となった今、非常時の中で学びを支えることの難しさや重みを、身をもって実感しています。

 近年、コロナ禍や自然災害も相次ぎ、多くの人が医療現場の厳しさや、医療職が直面する困難を身近に感じてきていると思います。それでもなお、医療の道に進もうと考え、学び続けている学生や、これから目指そうとしている人たちに、私は心から敬意を抱いています。

 現在は、正解のない不確かな時代と言われています。学生にとっても、教える側にとっても、迷いながら進まざるを得ない場面は少なくありません。その中で、学生と一緒に考え、迷いながら歩んでいくことを大切にしたいと考えています。学生の気づきを引き出し、そばで支えられる存在でありたいと思っています。学生には、自分で見て、経験して、感じたことを大切にしながら、自分なりの答えを見つけていってほしいと思います。

 看護職を目指す皆さんへ。看護の道は決して楽ではありませんが、人の人生に深く関わり、誰かの支えとなれる仕事です。知識や技術だけでなく、考え続ける力や人として成長していく姿勢も求められます。これからの学びの中で、ぜひ自分自身の経験や考えを大切にしていってください。

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