202608

リカバリーカレッジうつくしまのメンバーとの1枚
後列右から2番目が本人です。

福島県立医科大学看護学部
田村 達弥

福島県立医科大学看護学部を卒業後、看護師として精神科および救命救急センターにて勤務。2012年に大学院修士課程を修了。2014年4月福島県立医科大学看護学部家族看護学部門(現:小児・精神看護学部門)精神看護学領域に着任し、現在に至る。2026年4月より大学院博士後期課程に進学。

リカバリーカレッジの活動を通して

 「リカバリーカレッジ」という活動をご存知でしょうか?
 リカバリーカレッジは、精神障がいのある人もない人も、家族や医療・福祉の専門職者、地域住民なども、さまざまな立場の人が「先生」と「生徒」ではなく、水平な関係性の中で学び合う場です。ここで大切にしている「リカバリー」とは、単に精神的な苦痛からの回復を指すだけでなく、その人らしい希望や目標を持ちながら、その人が主体となって生活を再構築していく変化のプロセスを意味します。リカバリーカレッジは、一人ひとりの経験や思いを尊重し、お互いに学び合うことを通して、新しい気づきやつながりが生まれることを目指した活動です。
 リカバリーカレッジは2009年にイギリスで初めて開設されて以降、全世界的に、そして⽇本においても全国的に広がりをみせています(皆さんのお住まいの都道府県にもあるかもしれませんね)。私は、2019年にこのような活動に出会い、約6年間の構想期間と仲間づくりを経て、福島県で「リカバリーカレッジうつくしま」の立ち上げに主体的に関わりました。現在、精神障がいのある当事者10名、専門職者5名、地域住民2名の17名が運営メンバーとして「ともに耕そう、こころと社会」を理念に、対話やグループワーク、創作体験、美術・映画鑑賞など参加者との双方向性を意識した講座を運営しています(2026年7月現在、延べ参加者数282人)。
 活動を続ける中で、精神障がいのある当事者が抱える苦しさや孤独、自分自身を否定してしまう気持ちに触れ、医療や福祉だけでは解決できない課題が数多くあることを実感しました。その一方で、当事者の方々と一緒に学び、企画し、運営を行う中で、多くの人が豊かな経験や知恵、創造力、そして仲間と協力する力を持っていることにも気付かされました。今では同じ地域で暮らし、一緒に学び、一緒に活動する大切な仲間だと信頼しています。この経験は、病院や施設の中だけでは得られなかった学びであり、人との関わり方そのものを見つめ直す大きなきっかけとなりました。
 看護は、病気や症状だけを見るのではなく、その人らしい生活を支えることが大切です。そして人との関係性を大切にする専門職です。そのためには、患者さんを「支援される人」としてだけではなく、一人の生活者として尊重し、共に考え、共に歩む姿勢が求められます。
 私は、リカバリーカレッジのような「共に創り、共に学ぶ」場が、看護師さんたちの成長につながり、これからの看護をより温かく、よりその人らしさを大切にするものへと発展させる可能性があると考えています。そのため現在は大学院博士後期課程で学びながら、「人はどのような経験を通して考え方や態度を変えていくのか」といったテーマについて研究を進めたいと思っています。そして、その成果を教育や臨床現場に生かし、患者さんと専門職者が互いに尊重し合いながら支え合える看護の実現につなげたいと考えています。
 看護職の活動の場は様々です。皆さんも看護に関することでも、そうでないことでも、興味関心があることについてたくさん見て、知って、学んで下さい。視野を広げることで枠にとらわれない看護観が育つと思います。私も人との出会いを大切に、楽しみながら、リカバリーカレッジで学び続けたいと思っています。

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