202305

宮崎県立看護大学 専門分野 小児看護学
荒武 亜紀

宮崎大学医科学看護学研究科(看護学)修了。国立小児病院、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)、国立都城病院、宮崎大学医学部付属病院に勤務後、宮崎大学医学部看護学科子育て世代・こども健康看護科学講座小児看護学領域を経て、2023年4月より現職。

臨床での出会いから問いを探求し、学生とともに学ぶ

 私は臨地実習を通して、小児看護に興味をもちました。小児看護学実習で初めて重症心身障害児を受け持つことになった時、どのように反応を捉えて関わればいいのかわからないことばかりでした。受け持ちの子どもと散歩に行くと、風が吹き、その風を感じて子どもの口角が上がり笑顔となり全身で喜びを表現していると感じました。ちょっとしたことが子どもにとって刺激となり、情緒に変化をもたらし成長発達を促すことを実感しました。実習を通して、子どもの示す反応を読み取り、意味を考えながら看護を実践していく面白さを感じて、異動しても小児の病棟がいいなと思い小児の専門病院に就職しました。小児の専門病院では、海外での心臓移植、遺伝性疾患、希少疾患、虐待など、たくさんのお子さんとその家族と出会い、さまざまなことを考えさせられるとともに、看護の楽しさ、奥深さを学びました。特に終末期で重症なお子さんのケアをする際には、発達段階やニーズに応じた支援の難しさを感じ、どのように家族と関わればいいのか、迷ったり、うまくいかなかったりすることも沢山ありました。子どもとその家族によりよい看護をするためにはどうしたらいいのか、先輩や後輩に自分の実践を説明するにはどうしたらいいのかなど考え、大学院に進学しました。大学院では同期や先生方にさまざまな現象を言語化して伝え、物事の考え方、見方を広げ、問いを探求し続けることで、小児看護の実践や研究への面白さを再認識し、小児看護学を深めていきたいと考えました。研究活動では、先天性心疾患の子どもと家族に関することやターナー女児の健康に関する研究を実施しています。先天性心疾患においては、近年、治療の進歩や治療成績の向上により、胎児期に診断されることや出生後は在宅療養が増加しています。しかし、妊娠期から出生時期、周手術期、日常診療において、継続した支援体制が十分でないなどの課題があります。母親が経験的に育児や疾患管理に関するケア方法を学んでいくプロセスにおいて、妊娠期から自分なりに状況を見極めながら対処が可能となるような支援についての研究を継続したいと考えています。
 現在、小児看護学にて学生への教育に携わっています。実習では多くの学生は、子どもに関わったことがない、あるいは少ないことからどのように子どもと関わっていいのかわからない、子どもの反応の意味が分からないなど、手探りで子どもと接近することから始まります。保育園実習では、子どもたちから近づいてきてくれたのに、病院実習となると子どもからなかなか近づいてきてくれないことも多く、子どもとの関わりに悩む学生も多いです。健常である子ども、病を持っている子どもの反応の意味を一緒に考え、学生の思考が整理できるように支援しています。それらに加え、子どもとその家族のニーズを見出し、子どもとその家族が持てる力を発揮できるようにするための支援を考えています。学生自身も対象の特性を理解し、子どもの反応の意味や自分の行為の意味が分かると、笑顔で「実習が楽しかった」「頑張ってよかった」など聞かれており学生の成長を嬉しく思います。
 今後も学生とともに子どもとその家族の反応や行動の意味が何なのか、根拠ある看護行為や意味付けを行いながら、問いを探求し学び続けていきたいと考えています。

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