2026/08/19
一般社団法人 日本看護系大学協議会 会員校
代表者 各位
数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム「特定分野会議(自然科学系)」において、医学・歯学・薬学・看護学のモデル・コア・カリキュラムに対応した「医療系分野標準教材(応用基礎レベル)」の第一期教材が、2026年7月2日に公開されました。日本看護系大学協議会(JANPU)会員校におかれましては、看護学教育における数理・データサイエンス・AI教育の充実に向け、ぜひご活用ください。
数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムについて
数理・データサイエンス・AIは、デジタル社会における基本的な素養であり、専門分野を問わず必要となる知識・技術です。本コンソーシアムには全国330余りの高等教育機関が参画し、文理を問わず全国の学生がこれらを修得できる教育体制の構築・普及を目指すとともに、国際競争力を備えた人材や産学で活躍する高度専門人材の育成を目的として活動しています。
コンソーシアムでは、数理・データサイエンス・AI教育の基本的な考え方、学修目標・スキルセット、教育方法を体系化した「MDAモデルカリキュラム」を策定しています。MDAモデルカリキュラムは、データ思考を養う「リテラシーレベル」と、自らの専門分野でAI・データを活用する実践力を養う「応用基礎レベル」から構成され、今回の標準教材は主に応用基礎レベルの教育を支援するものです。
関連ページ:数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム
「特定分野会議(自然科学系)」と医療系分野標準教材
特定分野会議(自然科学系)は、14の特定分野校と担当拠点校である大阪大学により、自然科学系におけるモデルシラバスの構築、応用基礎レベルを想定した分野別教材の開発、教材・データベース等の収集と共有を目的に設置されています。医療系分野では、2024年に「医歯薬系大学・学部における数理・データサイエンス・AI教育実施に向けた手引き」が取りまとめられ、各分野のモデル・コア・カリキュラムとMDAモデルカリキュラムを踏まえたプログラム設計、シラバス例、E-learning活用等が示されました。
その後、看護学を含む医療・保健分野で共通して活用できる教材の整備が進められました。今回公開された標準教材は、医療現場におけるデータ駆動型社会の到来を見据え、臨床倫理、医療データの特性、情報セキュリティ、AIを用いた診断・意思決定支援等、医療系学生が身につけるべき基本的事項を中心に構成されています。
関連ページ:特定分野会議(自然科学系) | 数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム
| 公開教材の主な特徴 ・モデルシラバスは「基礎知識」「社会動向」「中核項目1(データサイエンス)」「中核項目2(データエンジニアリング)」の4科目、各8コマの例で構成されています。 ・各回の教材としてPDFが公開され、内容によりDOCX・PPTXも提供されています。 ・医療に身近なデータセット、演習Notebook、スライド、参考資料・公的ガイドラインへのリンクが整理されています。 ・MDAモデルカリキュラムと、医学・歯学・薬学・看護学の各モデル・コア・カリキュラムとの対応表が掲載されています。 ・特記のない資料・コードはCC BY-NC-SA 4.0で提供され、出典明記等の条件の下、学術・教育目的で複製・改変・再配布が可能です。 「医療系分野標準教材(応用基礎レベル)」 医療系分野標準教材(応用基礎レベル) | 数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム *上記リンクから、授業で活用できる、PDF、PowerPoint、WORDが、無料でダウンロードできます。 |
医療系分野IT標準教材作成ワーキンググループについて
理工学系を中心にデータサイエンス教材の整備が進む一方、医療系分野に固有の倫理、データ特性、臨床活用を扱う標準教材は十分ではありませんでした。また、各医療系分野の改訂版モデル・コア・カリキュラムでIT・データサイエンス関連項目が明示され、教育現場から実用的な教材を求める声が高まっていました。
こうした状況を踏まえ、各専門領域の教育学会・協議会(日本医学教育学会、日本歯科医学教育学会、薬学教育協議会、日本看護系大学協議会)から推薦を受けた教員と、コンソーシアム特定分野校の教員により、医療系分野IT標準教材作成ワーキンググループ(WG)が組織されました。JANPUからも、看護学分野の委員として参画しています。
WGは、①改訂モデル・コア・カリキュラムのIT項目に必要なデータサイエンス要素の整理、②医療現場に即した実用的な教育リソースの作成・公開、③継続的に利用可能な教育プラットフォームの構築を目標として活動しています。2025年3月にはJANPUに委員推薦の依頼があり、看護学分野を含む包括的な医療系データサイエンス教育の発展を目指して教材作成が進められました。
看護学教育モデル・コア・カリキュラムとの対応
看護学教育モデル・コア・カリキュラム(令和6年度改訂版)では、看護師に求められる11の基本的な資質・能力の一つとして、「IT:情報・科学技術を活かす能力(Utilization of Information Technology)」が位置づけられています。これは、安全で質の高い、効率的な保健医療サービスの提供・管理に向けて、情報通信技術や人工知能を用いたデータ収集、意思決定を促す情報形成、信頼性の高い知識・情報・データに基づく看護実践を行う能力です。
標準教材ポータルには、各教材と看護学教育モデル・コア・カリキュラムの第2・第3階層との対応表が掲載されています。主な対応関係は次のとおりです。
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看護学教育モデル・コア・カリキュラム |
活用できる標準教材の例 |
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IT-01 |
「データ駆動社会と医療現場」「医療データの観察」「医療データ分析の実際」「医療データの可視化」等 |
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IT-02 |
「医療データの取得と取り扱い」「AIの活用と倫理」「医療倫理とITセキュリティ」等 |
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IT-03 |
「医療におけるICTの進展」「データ活用の実際」「医療データ収集の実際」等 |
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IT-04 |
「医療で使われるAI」「医療におけるAIの導入と受容」「AIの活用と倫理」「個別化最適医療を目指したAIの進展と現況」等 |
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IT-05 |
「医療におけるICTの進展」「医療データベース作成の手法」「医療倫理とITセキュリティ」等 |
なお、教材はIT領域だけでなく、「RE:科学的探究能力」「CS:患者ケアのための臨床スキル」「LL:生涯学習能力」等との対応も示されています。したがって、情報科目に限定せず、看護研究、統計・疫学、看護管理、医療安全、臨床判断、各領域看護学、統合実習等に組み込むことができます。
IT・データサイエンスを専門とする教員がいない場合の活用
本教材は、IT・データサイエンスの専門教員が十分に配置されていない大学においても、既存科目を活用しながら教育内容を補完するための基盤として利用できます。「手引き」では、MDASH申請のために新規科目を設けることは必須ではなく、複数の既存科目で必要項目をカバーできること、コンソーシアムが提供する教材やE-learningを活用できることが示されています。
公開されているPDF・PPTX・DOCX、演習Notebook、データセット、関連動画・E-learning資料を組み合わせることで、事前学修、授業内の事例検討・演習、事後課題までを一連の授業として設計できます。
活用時の留意点
・大学・学部のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、科目の到達目標と、看護学教育モデル・コア・カリキュラムのIT-01~05を対応づけて使用してください。
・すべての教材を一律に扱う必要はありません。学生の学年、既修内容、各大学の教育資源に応じて選択・再構成してください。
・高度なプログラミング演習等は、全学の数理・データサイエンス教育担当部署、情報センター、外部講師等との協働も有効です。
・教材を改変・再配布する場合は、各資料のライセンスと出典表示を必ず確認してください。
関連ページ
• 医療系分野標準教材(応用基礎レベル)公開サイト
https://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/medical_teaching_materials.html
• 特定分野会議(自然科学系)
https://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/activities5_sc.html
• 医歯薬系大学・学部における数理・データサイエンス・AI教育実施に向けた手引き
https://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/pdf/guidance_for_med_dent_pha.pdf
• 看護学教育モデル・コア・カリキュラム(令和6年度改訂版)本文
https://www.mext.go.jp/content/20250317_mxt_igaku-000040938_1.pdf
JANPU会員校の皆様におかれましては、看護学教育モデル・コア・カリキュラムに基づく教育課程の点検・改善、数理・データサイエンス・AI教育の授業設計、FD等に本教材をご活用ください。